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ベルウィック音記(1)

〜「内臓音源」〜

ゲーム中の音源についてちょっと書こうと思います。

実はベルウィック・サーガの音はオープニング・ムービーとエンディング・クレジット以外の箇所では
全て内臓音源を鳴らしています。
僕は当初全曲ストリーム再生を推したのですが、プログラマ側との話し合いの末に見事に却下されました(^^;

ベルウイックの内臓音源はサウンド・プログラマーの安井さんのおかげで、とてもクオリティの高いサウンドに仕上がっていると思います。
でもそれとは裏腹にその作業はとても大変な内容です。
ストリーム再生と違い、内臓音源ということで、まずサウンドの命とも言える波形の容量に限界があります。
それに加えて今回は全編オーケストラ・サウンドということで、つまり限られた小さい箱の中にオーケストラの音色を詰め込まなければならなかったのです(^^;

さてサウンドのクオリティーに大きく影響する要因といえば、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが”サンプリング・レート”と”サンプリング・タイム”です(大まかに言えばこんなもんです)。
つまり高い密度で長い時間サンプリングをすれば音質は良くなるんですね。

でもそれを例えばCD音質と同じ44.1kHzでやったりすると、アッと言う間にPS2の波形用のメモリは無くなるので、当然レートはずっと下げなければなりません。
が、下げ過ぎると今度は劣化によるノイズが目立って聴き難くなってきます。

サンプリング・タイムの方も長い時間取れればいいのですが、当然メモリを大きく食うのでどこかで区切りをつけそこでうまくループするようにしなくてはなりません。
でも短すぎるとループの繰り返しが耳につき、とても不自然な感じを受けます。
特に生演奏からのサンプリングの場合は、人間による演奏のランダムな「揺れ」が心地よいわけで、そこが機械的になっては興醒めです(^^;

というわけでそこにはメモリ内に納めてかつ、なるべく不自然な感じに聞こえさせないような匠の技が光ってくるわけですね!
では今回はこのへんで。

(注)開発に関する内容のところは、一応エンター・ブレインさんより許可を得て公開しています。

Comments (Close):4

05-09-09 (金) 22:41

 最近のコンシューマゲームの音楽って単純に圧縮
されたPCM(MP3とか)だと思っていたんですが、
まだまだプログラマーさんががんばれるところでも
あるんですね。興味深いお話でした^^

さいとうひろと 05-09-10 (土) 12:00

桂さん、こんにちは。
内臓音源もまだまだ現役ですよ!
結局ディスクのシーク・タイムが問題なんですよね。
メイン・プログラム側でもちょこちょことリロードする仕様だと音楽を読みに行く時間と合わさって、若干ゲーム・テンポが悪くなるので、サウンドをオン・メモリ(内臓音源)にするということはよくあります。
ちなみに!
ベルウィックでは戦術中は「マップ曲」と「戦闘曲」の2曲を同時に
メモリ内に常駐させることで、更にロードの回数を減らしています。
(この複雑で大変な音のパズルをやった安井さんにとても感謝です!!)

安井 05-09-21 (水) 14:32

わあ。恐縮です。
僕”プログラマー”なんですねw
 作業を始める前は斉藤さんの曲を聞いて、PS2のメモリに
入るのか!?と愕然としましたけど、進めてしまえば
こういう磨き上げる作業にはエクスタシーがありますよね。
 斉藤さんのメロディアスな曲も気持ちよかったですし、
関さんの幕の内弁当みたいな本格的オケもやり甲斐があって
量は多かったですがホントに面白かったです。
 技術的な部分にも柔軟に対応して下さった方々にも
気持ちのいいお仕事させて頂けて大変感謝っすね!

さいとうひろと 05-09-22 (木) 2:32

どうも〜、安井さん。
その節は大変お世話になりましたm(__)m
うはは、ほんと自分のデータは音色数を結構使ってる曲が多かったですね(^^;
負担を抱えつつもきちんとしたレベルまで持ち上げて下さった安井さんの執念に
大変感謝しております。
>技術的な部分にも柔軟に対応して下さった方々にも
初期段階でサウンド用のメモリ内のマッピングを見直し出来たのは良かったですよね。
※「プログラマー」→「サウンド・プログラマー」に訂正しました(^^;

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齋藤 博人(HIROTO SAITOH)

サウンド・デザイナー
東京都生まれ。
1998年に工画堂スタジオを退社し、以後はフリーランスとして活動。
民俗音楽、ジャズ、テクノ、オーケストラサウンドと多岐のジャンルに渡って作品を創る。

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